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トンネルに関する漫画、小説などの紹介

通勤途中や出張の際、一時読書は如何でしょうか。
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サルスベリ キンモクセイ ロウバイ

当サイトは、読者の投稿をもとに更新していきたいと思いますので、皆さんからの紹介、寄贈、お待ちしております。本のタイトル、著者名、出版社、発行年月、できれば感想や概要600字程度で連絡ください。

区分は内容により区分けしたが、文学を専門とするものでないので誤りはお許し頂きたい。

工事記録小説

「「動く大地」の鉄道トンネル」 ―世紀の難関「丹那」「鍋立山」を掘り抜いた魂― 交通新聞社 峯﨑 淳 2011年10月14日発刊
トンネル技術屋っていうは、真面目で、謙虚で、いかなる困難に遭遇しても、怯む事なく多感に対処し、克服する。至上の人間?そうかも知れない。筆者は、その姿勢や考え方に感動したのだろうか。他業種と人付合いが多いとは言えない私の人生でも、トンネル技術屋には実に頼もしい人が多い。 着工から完成まで16年【長さ7,804m、1918年着工、1930年北伊豆地震発生、1934(昭和8)年開通】、在来工法での断層との闘いの東海道本線丹那トンネル、着工から完成まで22年【1974(昭和49年)着工,昭和57年工事中止,昭和60年工事再開、1997(平成9)年開通】、膨張性地山を新技術を導入して施工した北越急行ほくほく線鍋立山トンネル、の稀にみる二つの難工事、これでもこれでもかと幾重にも押し寄せる難題、それ対する技術者たちの苦闘とそれを乗り越えた技術力と人間力には脱帽される。トンネル技術屋魂は日本人のDNAか?。2011年3月の東日本大震災、大地が動き甚大なる被害を被ったが、震災復興の源は、私たち日本人のDNAに刻まれているような気がする。 筆者自身の取材の中で得られた知識は、大変豊富でトンネルの造り方今昔、日本の地質の特徴を非常に判り易く表現している。なお、目次構成は、序章:豪雪地帯の高速鉄道、第1章:日本の鉄道トンネル、第2章:トンネルの造り方今昔、第3章:丹那トンネル、第4章:鍋立山トンネル、第5章:日本の地質の特徴、終章:思い出のトンネル屋たちとなっている。(2012By snake)

「上越新幹線物語1979 中山トンネルスピードダウンの謎」 北川 修三 ㈱交通新聞社2010.6
上越新幹線は、10ヶ月足らずの準備期間の後1971年建設がスタート1982年11月開通した。最大の難所は、中山トンネル14.8kmであった。本坑工事のアクセスは鉄道トンネルでは数少ない立坑が3か所あり、地質は主に火山噴出物、閃緑ひん岩、安山岩からなっている。火山噴出物、不整合面との苦闘の結果、2回のルート変更がありS字カーブ(R=1500km時速160km/h対応)のトンネルとして完成した。本物語では筆者が携わった立坑構築後から本坑開通までの実体験をもとに記載されているようだ。立坑技術、異常出水・渇水対策、前例のない350m以上の地上から地下への止水注入、立坑での揚水設備(ポンプ)、如何に事前の地質調査とルート選定が大切かなどなど得るものが多い。また、一般の小説のように出水時の緊迫する様子や工事中の決断、心底をわった地元との協議やつきあい等のなかでの筆者の心の動きが伝わってくる。そして終わりに2009年地元を訪れ、ものづくりに対する思いで幕を閉じている。全体をとおして映画のシーンを思わせるような作品である。(2010By snake)

「越後洞門 手掘り隧道物語」 磯部定治 とき選書1999.2初版
生活を営む上で道路は必需である。本小説は昭和初期から中期までの新潟県の現在の山古志村が舞台であり隧道にかけた男たちの強靭な意志と根性の物語である。村人は山々に囲まれ厳しい山や川沿いの貧しい道を命がけ歩き、冬期にもなると隔離された状況になる。村人は有志で自らトンネルをつくり生活苦を打開した。打破するため、村人の団結、資金調達、掘削における工夫等いたる所に感心させられる。機械もなく、ツルハシ、唐鍬、シャベルが主な道具である。測量のため天井から糸を下げ、ずり出しに地車、リヤカー、レールもなく養蚕の棚木、杉のレール、照明はなく提灯を下げ行ったり来たり、壁にあらゆる対策を講じる土木屋の本髄か。掲載のトンネルは、中山隧道(峠越えを克服するため、巾4尺高さ6尺、昭和8年から24年) 、塩谷隧道(崩れやすい地盤を克服、巾2m高さ2m、昭和13年から8年500m)、芋川隧道(昭和25年から28年、444m)、後山隧道(昭和25年、40日間、巾2m高さ1.5m、160m)、稲葉隧道(川沿いの崖っぷちを克服するため、昭和20年~21年、巾2m高さ2m)、大倉隧道(昭和26年~29年、巾1.8m高さ1.8m)が紹介されている。

「黒部の太陽」木本 正次 信濃毎日新聞社 H6.3第三印刷
石原プロ・三船プロにより映画化された小説である。 昭和31年着工された黒四ダム建設は黒部川上流未踏の北アルプスの秘境地帯に電力の需要をみこした関西電力の英断と建設業社の努力のもとに昭和35年に遂に完成した。工事の主な請負工区は、第1工区が間組でダム建設と関電トンネルの迎え掘り、第2工区が鹿島建設で骨材製造、第3工区が熊谷組で長野大町から資器材搬入のための関電トンネル、第4工区が佐藤工業で水路トンネル、第5工区が大成建設で地下発電所、水路トンネル等であった。大型機械を搬入できる工事用道路などなく人力を主体として機材を分解組み立てながら工事はスタートした。 筆者は、「黒四で苦労した大勢の人たちの人間の記録を、工事で殉職した171名の人々のために紙碑をうち立てたい。」ということで小説化したと言うとおり、各工区での人的苦労話、掘進速度向上のための努力、技術的苦労話、当時のトンネル建設の技術水準、また、第4工区においては、断層を突破するために様々な工夫を施した様子が専門以外でも分かるように描かれている。大変な力作である。

「-秘境を貫く-飛騨トンネルの物語」中日本高速道路㈱2008.9
  本書は、2008年7月に全線開通した東海北陸自動車道の建設事業で、最大にして最後の難関となっていた籾糠山(もみぬかやま)を貫く延長10.7kmの飛騨トンネルの計画から完成までの歴史や、「20世紀最後の土木技術者の夢」であった大断面TBMを導入したトンネル工事の内容を、専門的な用語ではなく、平易な言葉を用いて、読み物として面白く、わかりやすく記述している。 わが国の道路トンネルとして二番目の延長であり、永く“夢のトンネル”と言われてきた飛騨トンネルの工事は、複雑で脆弱な不良地質、そして大規模湧水帯が次々に出現するなど土木史上でも稀な難工事であった。本書では、工事に従事した人々の苦労話やエピソードを随所に取り入れることにより、工事現場の息遣いと悪戦苦闘ぶりが見事に表現されている。

一般小説

「地下生活者」椎名 誠 集英社 1993.3
作者が地下に対する恐怖心、魅力に引かれ?執筆した2本の作品が収められている。
*遠灘鮫腹海岸*
広大な海岸にジープを乗り入れたが、砂利にタイヤをとられ、あがけばあがくほど砂利の中に呑み込まれてしまう。そのうちジープは、天井あたりまで沈む。数日の悪戦苦闘のうえ、回りに流木を打ち込んで囲み、蓋までかける。
*地下生活者*
駅のホームとホームを結ぶ地下道をわたっている途中、事故に遭遇して5名程が閉じ込められてしまう。必死に脱出を試みるがコンクリートの塊に押し潰されて死亡する人もあらわれた。密閉された空間での恐怖心、暗闇でものが見える、体が自由に宙に浮く、肉体を持たない思念で地表と地中を自由自在に移動、私はもう幽霊?、奇妙な地中での会話、いつのまにか肉体を持った普通の生活、そして、地下への憧れ…………。
タイトルから、大深度の未来小説か?否やトンネル事故に関連した小説と思ったが、地下への恐怖心や安堵感などを表現したまったく奇妙な小説である。

「ホワイトアウト」 真保裕一 新潮文庫H11.5.九刷
厳冬期における日本最大の貯水量を誇る奥遠和ダム(奥只見ダム?)を舞台としたサスペンスである。 11月通常誰も入山しないダム近傍の山で遭難者の救出にダム運転職員2人が向かい仲間1人を失う。御殿場の火薬メーカーの倉庫からカーリットの主剤の過塩素酸ナトリウムと硝酸アンモニウムが盗難される。1月羅臼の沖合で拳銃の取引、2月救出で亡くなった仲間の婚約者が奥遠和ダムに向かう。奥遠和と麓の町をつなぐ唯一のシルバーライン最後の11号トンネルが不審者により爆破される。そしてダムは、武装グループに占拠される。テロリストは、職員と麓の20万世帯の住民を人質に、要求は50億円要求、残された時間は24時間。同僚とかつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救う為に幾多と雪とガスにより何も見えない白い闇ホワイトアウトが道を塞ぐ、それにもめげず荒れ狂う吹雪をついて、敢然と挑む。救出劇のスタートだ。、、、蓋道、開閉所下の地下道、ダム監査廊、斜坑跡、放水路、犯人の意表を突く、緊迫感あふれる小説だ。走れメオスをも連想する。2000年角川映画より公開された 「ホワイトアウト」 は奥只見ダムとこの地形をモデルに製作された。なおダム本体の撮影は黒部ダムで撮影されたとのことです。 【参考】
奥賀野川水系只見川奥只見ダム、水力発電、重力式直線コンクリートダム、総貯水量6,100千m3、電源開発㈱、鹿島建設施工、着工1953 / 竣工1960
ダム貯水池容量ベストテン(12年度現在)
1. 徳山ダム.ロックフィル6.60億m3
2. 奥只見ダム.重力式コンクリート1960竣工6.01億m3
3. 田子倉ダム.重力式コンクリート1959竣工4.94億m3

「BLOWOUT!海底トンネル爆発」 トマス.N.スコルティン,フランク.M.ロビンソン,訳;山本光伸 新潮文庫 1990.3
物語は、圧気シールド工事中、切羽崩落事故で水と泥の中で命を落とす様を圧気室の窓から見た事故現場の目を覆いたくなるような描写から始まる。 ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス間にリニア鉄道トンネルの建設工事が始まった。最大の難所ミシガン湖底の完成まであと1/4マイル(400m)、東西両側でメタンガスの爆発が発生、貫通式に集まった600数名の男女が死亡した。わずかに生き残った数名は、貫通点近傍にある鍾乳洞に逃げる。しかし、そこでは殺人鬼とメタンガスが追いかける。地上との交信で湖上からのケーソンで無事生還する。事前調査(凝灰岩層)と掘削データ(多孔質で、しかも摺曲したドロマイト層の下に発達段階にある油田と凝灰層)を比較すると異様であった。その裏にあるものは? 過去の事故による復讐鬼と化した男、人命の安全(救出)よりも経費節減や工期に執念を固執する上層部、政府関係者の姿、トンネル屋の工事に対する姿、そして、救出劇などを身に迫るタッチで表現している。 時代は、第二青函トンネル完成後を設定し描いている。

「破断層」広河 隆一 講談社 1987.3
中東問題を考えさせるフィクション小説である。 パレスチナ人の代表する組織PLO(パレスチナ解放機構)とイスラエルは、平成5年9月ノルウェイの社会学者エリエ・ラーセン氏の仲介により和平への歴史的な和解へのスタートを切った。 レバノンのパレスチナ人キャンプ20万人全滅計画を、イスラエル政府内の強硬派によって進められていることを知ったパレスチナ人は、脱出のため地下に坑道を掘ること秘密裡に計画、実施、完成した。 トンネルは、レバノンのキャンプ地点からシリア方向アレイ市郊外まで全長約12km、断面の幅5m、高さ4m、途中に立坑2本、敵のスパイ、火災、パニックを想定し綿密に計画された。資機材の不足、悪地質のため工事は難航し途中、断層破砕帯で切羽崩壊、滞水層での異常出水、大鍾乳洞との出会い、酸欠事故などに遭遇しながらも無事完成した。そして全滅作戦が発動、脱出計画が実施された。 作者は、トンネルと地質工学をベースとし、大地、民族、個人の間に無数に刻まれた断層を突き破り、それを乗り越え和平がくるのを切望している。 本小説は、フィクションでありながらユダヤ人とパレスチナ人の関係を理解する手助けとなるであろう。難い問題があるが、和平が進みユダヤ人とパレスチナ人との長い歴史に終止符を打ってほしいものである。

「方舟さくら丸」安部 公房 新潮文庫 1990.10
  著者は、どんな洞窟、空洞を想像して、空洞を築造したのだろうか。大谷石??? 地下砕石場跡地の巨大な洞窟に核シェルターの設備をつくりあげた主人公と生き延びるための切符を手に入れた3人の男女の奇妙な共同生活がつづられている。そして、最後に、核時代の方舟に乗ることができるのは誰? 立体写真、真空トイレ、外部からの侵入者対応策など飽きさせないエピソードがあり楽しませてくれる。

「山を貫く」もりた なるお、文藝春秋 1992.11
  明治黎明期を舞台として、西洋画の先駆者高橋由一の悪戦苦闘を政府の命を受け鬼地方長官と呼ばれた三島通康からの「栗子山隧道記録画の作成」依頼を通じ描いた書下ろし長編小説である。 文明開化のなか、西洋画普及の実践者高橋由一<脂派(やには)>は、急激な欧化に対する反動にもめげず、自らの信念を貫き通したひとりである。大久保利通から地方長官に命ぜられ、「道路を開発こそ近代国家建設の大命題であり、道路は、すべて中央政府に直結する。」とする信念の持ち主の三島通康は、栗子山隧道の記録画として高橋由一に依頼した。 栗子山隧道は、山形県の米沢と福島県の福島を結ぶ全長804mのトンネルで明治11年の初めに工事着工し、明治13年12月に貫通した。標高1,217mの抗甲山(栗子山)の山腹を穿って出来上がったもので計画された当時は狂気の沙汰とだれひとりとして成功を信じていなかった。 完成間近い絵は、何かが足りない。苦悶の末、白い絵具を溶いた。見る見る内に絵は賦役によって難工時に従事したものの悲鳴と絶叫が生き返り、自己を主張する絵に変貌した……。 栗子山隧道の絵は、宮内庁および(財)山形美術館に所蔵されているとのこと。

「石の来歴」奥泉 光、文藝春秋 H6.3
  古本屋の息子として生まれ、戦争末期フィリピン・レイテ島で生死の際で主人公真名瀬は、上等兵から洞窟の中で石の話「石の生成と石と人生観・石にみる生の哲学など」を聞かされた。
  終戦後、秩父に移り住み家業を継いだ。秩父は地質の宝庫といわれる場所で、石に全く興味がなかった真名瀬は、ふとしたことから石を拾い、地形図片手にハンマーをもち岩石収集、自家製岩石標本、岩石薄片標本をつくりあげた。そして趣味としての範囲が専門家の間でもその存在が認められるようになった。と同時に子供も岩石に興味を持ちはじめ、家業も順調に・・・しかしながら・・・家庭の不幸がおとずれる。・・・・戦争で人間の限界状態の中で聞かされた石の話は、いつまでも心に残り孤独になるが励みにもなった。  ビッグバンにより45.5億年まえ地球が誕生して以来、石は万物を取り込み、石に地球の輪廻(歴史)を見ることができる。ひとつの石を観察すると様々な事象を思い巡らすことができる。人間の一生とは比べようもない石。全体的に暗い作品であるが読むに連れ石のことが理解できるとともに人生観について深く考えさせられる。

「ドーム(上)、(下)」夏樹 静子、角川文庫  1989.9
  人類生存の夢、ノアの方舟「ドーム」をフィージィーのアプラ王国に建設しようというフィクション小説である。  地球文明滅びの芽といわれる全面核戦争が起きても、人類を生き残そうと各方面の技術力、政治力などを動かし、人工による生活環境、人間工学や巨大な構造物(地中100m、直径60m、耐震設計M6.5)を作り上げる。

「坑夫」夏目 漱石、新潮文庫 1992.3
  恋愛のもつれから家を出た主人公は、あてもなく歩を進めていた。周旋屋(ポンビキ)に誘われるまま、ヤマに着いた。途中、思い巡らせ「坑夫にまでなり下がる」………こととした。
  ヤマに着くまでの人との出会い、ヤマの異様な情景、地獄に深く心許さない足取りで降りていく様子、学校での坑夫との出会いなどルポルタージュに描いた小説である。
  舞台は、明治後期のヤマ(足尾銅山)で、当時の社会的地位、作業の辛さが理解できる。

推理小説

「黒部人柱伝説」平 龍生 青樹社 1990.10
富山・黒部(黒四)ダムは、大正時代から計画され昭和31年7月に着工、幾多の困難を乗越え昭和38年6月に完成した。当時は世界からも注目を集めたビッグプロジェクトであり、日本の高度成長に大いに寄与してきた。 現在黒部ダムは、観光化され多くの人々が富山側から美女平、宇奈月、長野側の大町ルートから入っている。 地元山岳写真家は、残雪の山々を撮影するため入山したが、不明となり首なし死体で発見された。しかも切断口に黒い四羽の雷鳥の魔符が貼られていた。数日後、富山出身のアイドル歌手が、東京で首なし、しかも切断口に變女轉男(へんにょてんなん)女が変じて男になるの魔符が…・、と殺人が。 事件の解決のポイントは、「黒い雷鳥」「變女轉男」札の立山信仰、昭和32年関電2号トンネル第71号枝坑での大破砕帯で大量の高圧湧水により地中の軟弱層が噴出し切羽の鉄枠を押し潰し34名の尊い人命が失われ、怒った山の神を静めるたるめ4人の首を狩り、人柱として湖底予定地に捧げた?。そして、30数年後の現在地下工事で凝固剤不足による陥没・地盤沈下などによる死亡災害の多発がおこっている。黒い司祭者による地の神への生け贄か?。 伝奇推理小説とはいえ犠牲者171名を出した黒四ダム工事が如何に「難工事」であったか、また「立山信仰」を理解できる。

「ポセイドンの涙」安東能明 よしあき 幻冬舎 2005.7.10
(水没青函トンネル殺人事件 幻冬舎文庫H19.12は、改題し加筆訂正したものである。)
世紀のビッグプロジェクト工事、青函トンネルは、昭和21年地質調査を開始、昭和39年北海道側より斜坑口掘削を開始、そして42年後の昭和63年3月に開業した。過疎の町にプロジェクト遂行のため人々が全国から逐次集まり町は活況を呈し、そして櫛の歯がこぼれるように人々は散っていった。完成間近になると先のことを考えるのは世の常である。 舞台は、開業16年後、海底下240mの作業坑で打音検査中側壁部から死体が発見される。吉岡で育った3人が25年ぶりに再会させられる羽目にそこには何があったのかあるのか。15歳の子供が吹付けコンクリートを操作できたのだろうか。トンネル屋に夢はせた少年、真犯人を坑内へ、青函トンネルがすべて?憎しみ?そして水没の危機、、、重みを感じるサスペンスである。 青函トンネルは、函館にある管理センターで立坑、斜坑、先進導坑、作業坑、30以上の連絡坑、本坑などを四六時中監視、異状時に備えている。また、湧水は毎分24トンあり12台のポンプで処理しているとのことである。現在八戸から函館までの工事が進められているが、早期の開通と開業による経済効果を期待するものである。

「青函特急殺人ルート」西村 京太郎 講談社文庫 1992.3
世界最長の青函トンネル(L=53.8Km)が殺人推理小説の舞台に登場した。 青函トンネルには、避難用として本州の竜飛と北海道の吉岡の2ヶ所に世界初の海底駅がある。作者は、開通間も無い海底駅でイマジネーションを刺激させられたのだろうか。1日何本も停車しない海底駅で女性の刺殺体がトイレの中で発見された。 犯人は、どうやって殺害し脱出したのか。進入・脱出は、千三百段近い斜坑、上下線ルート間の側溝、本坑両側の誘導路と作業坑?、推理するだけで楽しくなる。 推理のキーワードは、膨大な遺産相続を受ける姉妹、姉の夫、妹に似た女性の友達、妹の盲目の女性友達、興信所の男性であり、姉妹のふとした喧嘩の結果が物語りの出発点である。事件は北に向かう「北斗星」を舞台に十津川警部の苦心の推理と捜査で犯人を追い詰める。

「北陸トンネル殺人事件」斎藤  栄、光文社文庫 1985.5
  北陸トンネル(敦賀~武生)内で起きた列車火災事故、昭和47年11月761人満席の大阪発青森行急行「きたぐに」をフィクション化した推理小説である。
  食堂車より発生した火災で、炎、猛煙、酸欠、一酸化炭素中毒の中、避難と救援を身に迫るタッチで表現している。

「影の斜坑」草野 唯雄、角川文庫 1982.2
  廃坑の運命にある北九州にある三輪鉱業(株)赤井炭鉱を舞台にしたミステリーとサスペンスを多分に盛り込んだフィクション長編推理小説である。かつての炭坑の風景、斜陽化した石炭産業の現状、炭鉱坑内地底の状況が、かつて鉱山勤務を経験した筆者の体験を生かした明快な描写がとてもすばらしい。

SF・冒険小説

「地底ドドンパ男」岬 兄悟 早川書房 1986.7
地底世界は、ある?なし?。ノンフィクションに地底世界が登場するのは人間の願望からくるのだろうか。この小説は、ジュニア向けのマンガチックなSF小説である。 異次元地底世界に通じるディメンジョン・ワーム・ホールからモグラ妖怪ゴンドムの案内で地底ドドンパ帝国の皇帝のお爺ちゃんを訪ねる。 地底では、無意味な怪しい生物と出くわしながらメチャクチャナ大冒険を繰り返す。 文中に光を出す苔「光の苔」が登場する。「天然あるいは、天然に近い形で存在したら地下都市構想に夢を与えるだろうな」と思いながらハチャメチャ…・。

「地底旅行」ジュール・ベルグ    訳;窪田般弥、創元推理文庫 1991.5 20版
この小説は、地球の地下に夢はせるジュール・ベルグの想像力を駆使したSF小説である。

「地底の世界ぺルシダー」、ERバロス,訳;厚木  淳、創元推理文庫 1982.10
  コネチカット州鉱山王の資金援助を受け硬岩用地下掘削機を完成した。掘削機は、全長30m、鋼鉄製円筒型、中折れ機構付き、掘削面が円錐形、時速11km可能である。
  さて、試運転、地下への出発である。燃料オイル3~4日、平均時速11km、鉛なり、地球中心へ向かって進まざるをえない状態におちいった。
  1.6kmで華氏110度<(110-32)/9×5=43℃>、134kmで153度、380kmで急に-10度、640kmで153度(64℃)、800kmで運転停止、出発してから72時間、そこには、地底の世界が広がっていた。、、、、

児童向け漫画・解説書

「地下鉄のできるまで」加古 里子、福音館書店 1987.10
  地下の下を、川の下をとおる地下鉄はどのようにつくられるか、などを幼稚園向きに書かれた絵本である。開削工法・シールド工法・沈埋工法がようくわかる。

「まんが青函トンネル物語」、うしおそうじ、斎藤邦雄、山河社
  青函トンネルの計画から完成まで子供から大人まで楽しめるマンガである。ポイントを押え、かつ数値が的確に記載されよくまとまっている。

「しらべてみよう8 東京の地下探検旅行」三浦 基弘、絵;五茂 健、筑摩書房 1988.7
  身近な地下鉄、水の流れを中心に話題を展開させている。また、その地下(トンネル)をつくる方法(開削工法、シールド工法、凍結工法)や広がる地下の世界をわかりやすく小学校、中・高学年むけに説明している。

「21世紀のもぐら  トンネル物語」岩佐 氏寿、絵;中山 正美、文研出版 1989.9
  はじめに、身近な羽田モノレールのトンネル(沈埋トンネル)を取りあげ、工法などについてかなり丁寧に説明し、読者を引き付けている。全体の構成は、トンネルは、初めいつどこでつくられたか、日本はどうだったかというトンネルの歴史や、どうやって掘るのかを具体的に説明している。また、丹那トンネルの悲劇(山岳工法)、水底トンネル(シールド工法)、世界最初の関門海底トンネルなど個々の歴史や掘り方、土との戦いなどわかりやすく紹介している。そして、21世紀のもぐらについて筆者なりの展望がかかれている。全体的に図や表、写真を盛り込み児童向けに専門用語の意味や読みが判るようにカナを付け、よくまとまっている。

「地底国の怪人」、手塚 治虫、角川文庫 H6.11
手塚漫画の原点となった代表作のひとつで1948年2月発行の復刻版である。
地球を貫通して12,700Kmを12時間で疾走させるという地底列車計画がスタートした。少年科学者のジョンと助手の耳男がロケットに乗り込み地底と旅立つ、化石・岩石の生成を話しながら地球の中心で降り立つ、熱いはずが?、岩石の中から一点の明かりが、そこは別世界の地底国であった。石炭紀に地上で恐竜や怪獣そして人間が現れ栄えたので地下の世界を造り出したという。陸も海も空も征服した人間が地下までも、地底人との戦い、、、、、、ロケット列車2号の建造で遂に地球の裏側へ。夢のある漫画です。

「図解 東京の地下技術」編者:青山やすお・古川公毅、(株)かんき出版、2001.12
  「東京の地下は業の博覧会場。だから、この凄い世界を知らずして東京を知っているとは言えない」が、カバーに記されているように、東京の地下での空間利用技術は、都市部の軟弱地盤におけるトンネル工事における最新の設計施工技術が充々ている。地下鉄、上下水道、ガス、電気、電話、共同溝など生活基盤を支えている構造物、造る過程や技術を意識せずあたり前のように利用しているが、その技術は、世界に誇る高度な技術である。

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